私が日頃ひっそりと心の中で感謝している職業の方がいます。書店員さんです。
昨晩から口も胃も気持ちも準備して昼食にトンカツを食べた時、激戦の観たかった舞台のチケットが当選した時、かなり高い幸福度を感じますが、立ち寄った本屋さんでこれは!という本に出会った時も最高の気持ちです。
私はいつも、偶然の出会いを期待して本屋さんに立ち寄ります。
日々、ものすごい数の本が発行される中で、手に取るところまで至る本というのはごく一部。そもそも、その本の存在を知らないので、見つけることなく埋もれていく本がほとんど。
でも、それが書店員さんの手で気づくように置かれていて「何これ?!」と手に取った本が興味のある本だった時の高揚感たるや。本当に最高。
アハ!体験を有難う書店員さん。
心の中で叫んでいます。
ニュートンが木から落ちるリンゴをみて万有引力の法則を発見したこと…これもアハ!体験だと言えるでしょう。人がアハ!体験をすると、0.1秒ほどの短い時間に、脳の神経細胞がいっせいに活動して、世界の見え方が変わってしまいます。神経細胞がつなぎかわって、「一発学習」が完了し、今までと違った自分になってしまうのです。
アハ!体験とは。ソニーコンピュータサイエンス研究所より
昨日本屋さんで見かけて、そのままレジに運んだ本。勿体無くてちまちま大事に読んでいます。
駅ナカ極小本屋さんの厳選セレクト
職場が丸の内なことから、大きな書店が近くにあります。
もちろん大きな書店は品揃えがよく、ネットなどで見かけた本が欲しいと思って訪れれば、大体あります。ベストセラーも目立つ位置に平積みにされていて、品切れの心配なく買える。
そんな大型本屋さんも好きなのですが、もう一つ、毎日のように通ってしまう本屋さんがあります。
駅ナカの極小スペースの本屋さんです。
皆が足早に行き交う駅ナカ。
自己啓発本、金融本、仕事術、エッセイ、時代小説、雑誌、漫画、その駅を使う人が一通り必要としていそうなラインナップを不足なく網羅。
時間のない人達が、店内を一巡しただけで目的の本に辿り着くように置かれた配置。
そして毎日通っても飽きない、日々の陳列変更。
目的がなくても「何か出ているかも」そう思って乗換時の移動ルートに入れてしまう。
そんな本屋さんでたまに、書店員さんの渾身の一冊であろうと思われる本が、そっと、でも熱量を持って面陳列されていることがあります。
他の大型書店はどこも置いていない本
数年前の朝の通勤時。
その小さな本屋さんでこの本が1冊だけ面陳列されていました。
見た瞬間、何これ!可愛い!欲しい!と思ったものの、一瞬の躊躇。
ちょっと待て、買うかどうか考えよう。欲しかったら近隣の大型書店でも買えるだろうし。
タイトルだけ記憶し、職場に着いたものの、やっぱり欲しい。読みたい。
こうなるとすぐにでも読みたい。
近隣大型書店の検索システムで調べてみたのですが、どこも在庫無し。三省堂書店も丸善も紀伊国屋書店もない。
ない、ない、ない!
私は出版業界にも書店にも勤めたことがないので分かりませんが、名だたる大型書店には置いていないのに、駅ナカの小さい本屋さんでは置かれていた。
あんなに狭い売り場で面置きするスペースを取るというのは、本当に大変というか、熱量がないとできないことなのではないでしょうか(素人考えですが)。
きっと書店員さんが「この本を置きたい・売りたい」と思ったから仕入れて並べてくれた。そしてその本に私は出会った。
何故あの本屋で買わなかったんだ私。
諦めきれず、帰宅時にも軒並み本屋さんを覗きましたが、どこにもない。
翌朝、売り切れてませんように!と念じながら階段を登ってあの本があった時の嬉しさといったら。残ってくれていて有難う。そして仕入れてくれて有難う。
その時心に決めました。
この本が欲しい、と思ったらそこで買う。
欲しい本に出会った時のスタンスが決まった瞬間でした。
ブックコンシェルジュ
その後も、その小さい本屋さんでは「これは!」という本が高確率で置かれており、私の中で勝手にブックコンシェルジュのように思っています。
書店員さんでもない自分が、読みたい本を発掘するには限界があります。
まず自分の好みに偏って探すので、新規開拓がなかなかできない。ネットの情報も自分の趣味嗜好に寄ったものがはじき出されるので、ある程度の域を出ない。
かつ、好みがあるので何でも手当たり次第という訳にはいかない。
そうした時に、この人が推してる本なら手に取ってみようかな、と思える基準になる人(お店)があるのは本当に心強い。
あなたの今まで読んでいたラインではないけど、こんなのはどう?みたいな感じで提案される。
本読みとしては最高の本屋さん。
出版に関わる色んな人の苦労、努力、協力があって本ができる。そして売られている。
それを覗き見させてもらっている気分で毎巻楽しみに読んでいるこの漫画。
黒木華さんでドラマ化もされましたが、何よりオダギリジョーさんの五百旗頭が漫画のまんますぎる。
書店は私にとってエンターテイメント空間です。
書店員さん、出版に関わる方全て、作家さん、いつも有難うございます。
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今日も本屋さんに立ち寄りながら出勤します